理事長メッセージ

一般社団法人札幌青年会議所
2021年度理事長 藤田 真吾

【はじめに】
夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、
計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。
故に、夢なき者に成功なし。
吉田 松陰


幕末から明治維新の原動力となった志士たちを輩出した松下村塾での松陰の教えは、熱く徹底的に学び行動するというものでした。一方的に教えるというものではなく、弟子と共に意見を交わし、時を過ごす「生きた学問」だったと言われています。
現世にあっても変わらず青年には、共に夢を描き、共に学び、情熱溢れる行動力が求められています。
1951年、27名のチャーターメンバーから始まった札幌青年会議所は本年で70年を迎えます。これまで様々なまちづくり、ひとづくりに携わってきた我々が、新たな時代を切り拓き地域社会のリーダーとして今後のSAPPOROを意欲的に牽引していかなければなりません。
訪れる様々な困難や課題を乗り越え、未来の明るい豊かなSAPPOROを創るのは、我々の英知と勇気と情熱でしかないのです。
我々の運動は、地域活性化を生み出すとともに全国各地、全世界から訪れる人々へ伝播し、グローバルな人財を育成することで、世代・地域・国を越えて繋がり明るい豊かなSAPPOROを築き上げる礎となります。

【70周年を迎える札幌青年会議所】
五州一の都を造る。今より152年前、北海道の開拓を命じられた初代開拓判官島義勇が描いた理想は、今も引き継がれています。戦後から高度経済成長期、バブルの崩壊、リーマンショック、自然災害など経済や環境における様々な変化を経てきました。そして、昨年新型コロナウイルス感染症の蔓延という未曽有の事態の中、第69回全国大会北海道札幌大会が行われました。この難しい状況下での開催は、様々な修練と新たな大会構築へ挑戦したことによる成長の機会を与えられるとともに、自分たちの住み暮らすまちの在り方を考えることとなりました。
いつの時代もJAYCEEは高い志を持ち、未来を見据え時代に即した札幌の魅力を引き出し、より高い位置で歴史のバトンを継承してきました。新しいチャレンジを生み出すことは、地域に様々な好循環をもたらし、市民に愛される組織を創り出します。70周年という特別な年に、新たなるSAPPOROの魅力を創出していきましょう。

【国際都市SAPPOROの創造】
2019年度に札幌を訪れた観光客は、約1526万4千人であり、外国人宿泊者数は約242万3千人でした。札幌市には5つの国際姉妹都市があります。世界各国にどのように見られ、どのような可能性があると感じられているのでしょうか。行政が継続的にアジア諸国で行ってきた旅行博や商談会での魅力の発信や、SNSを活用した情報発信など観光客の誘致に係る取り組みの効果に頼るのではなく、工夫を凝らし、官民一体となったまちづくりが重要です。第二次札幌市環境基本計画にあるSDGsの推進に関しても、青年会議所だから出来るネットワークを利用し、国際支援を推進していかなければなりません。世界中から注目される国際都市SAPPOROとして、青年会議所メンバーが一丸となり、今だから出来る工夫を凝らして世界に発信していきましょう。

【未来のSAPPOROのリーダーと共に】
2030年SDGsの目標達成や札幌青年会議所にて2015年に策定された日本版CCRCを基盤としたサッポロビジョンの具現化に向け、未来のSAPPOROを構築する人材との連携がまちづくりには必要不可欠です。組織はリーダーの力量以上には成長しないと言われますが、リーダーとは、人々が後に同じことが出来るように道を築き上げるものなのです。我々は現代の情報社会の中で、驚くべきスピードでアップデートされていくこの時代をどのように生きていくべきでしょうか。青年会議所単体でのまちづくりではなく、若い力や新しいアイディアを積極的に取り入れ、率先して学びを乞い、リーダーシップを築くことがまちづくりに必要な時代なのです。人によって磨き上げられ、アイディアや行動力を兼ね備えたメンバーの起こすアクションが人々の共感を生み出し、新たなリーダーが創り出されることで、そのまちは必ず脚光を浴び、更なるSAPPOROの発展を臨みましょう。

【人で人を磨く強い組織へ】
札幌青年会議所には魅力ある人材が自然に集う、そんな組織にするためにはどうしたら良いのでしょうか。この人の話を聞いてみたい、この人に会うと元気が出る、そして何よりもこの人といると成長出来ると周りから認められる人間が多く集まれば、自然に人が集うアクティブな組織になるのではないでしょうか。その同志たちが共に学び合い、組織が活性化された時、本当に強い組織となるでしょう。また、5ヵ年にわたる拡大成長戦略も終わりを告げ、新たな拡大の指標が必要となります。札幌市には20歳から39歳までの人口が約43万人います。難しく考えず、明確な目標を持ち、フィルターをかけることなく積極的に声を掛け、メンバー一丸となり拡大運動を継続していきましょう。

【北海道のキャピタルLOMとしての立ち位置を考える】
北海道は1997年を境に人口減少へと転じ、1990年から25年間で生産年齢人口の推移も大きく減少、その最中でJAYCEEの出来ることは何でしょうか。北海道の流通経済の中心地に存在する札幌青年会議所メンバーが、北海道内各地青年会議所とより深く向き合い、ビジネスや人材交流においての活性化を築く礎とならなければなりません。また、札幌青年会議所には5つの国際姉妹JCがあります。国内外と沢山の人々が往来する中、この北海道、札幌において必要な団体としてより強い存在感を生み出せるよう行動していきましょう。
今後、支店経済、観光都市といわれるSAPPOROのおもてなしの形は変化を遂げていくことになるでしょう。根底にある地元愛を育みながら、第69回全国大会北海道札幌大会で共に汗を流した副主管の方々への感謝をメンバー一丸となって伝えられるよう行動をしていきましょう。その行動が信頼を生み、魅力的な関係を築くことで、人材の成長とともに組織を成長させていきましょう。

【市民の興味を惹くバリエーション豊かな発信】
70周年を迎え、我々はどれだけ札幌市民にその運動を伝播してきたのでしょう。また、札幌青年会議所は市民にどのような団体として認知されているのでしょうか。
より多角的に、地元の人々や企業に留まらず、国内外から興味を持たれ、アグレッシブかつ誰もが成し得たことのない広報戦略や手法にチャレンジし、SNSやオンライン上での事業PRなど幅広く賛同者を募りましょう。事業に対する人々の共感を生み出し、運動に対するファン作りを推進しなければ、地域の理想と離れた青年会議所運動となってしまいます。官民一体となり成功するモデルを情報収集し、メンバーの経験や知恵を結集させた広報は他に類を見ないほどの伝播力を持ち無限の可能性を発揮します。新たなるアイディアとともにユーモアで人々の記憶に残る発信をしていきましょう。

【時代と社会に求められる組織の構築】
新型コロナウイルス感染症という未曽有の危機にさらされた世界、もちろん青年会議所も例外ではありません。今まで何の疑問もなく一堂に集い、交流していたことさえ難しくなり、急速に変化した市民の生活様式や働き方と同様に、組織のルールやコンプライアンスも刷新されていくべきです。かつてない困難からはかつてない革新が生まれ、かつてない革新からは、かつてない飛躍が生まれるでしょう。誰も正解を生み出せない中、これからの時代は一人ひとりに対してより高い判断力と決断力が求められています。不測の事態が起きても継続出来る組織づくりを推進しなければ、組織も衰退の一途を辿るでしょう。社業同様に、青年会議所という組織を守っていくのは自分たちなのです。
70年の月日を迎え続いてきた札幌青年会議所は、過去にどれだけの転換期があったでしょう。先達は常に新たな選択に悩まされ、聡明な判断をして新たなスタートを切ってきました。2021年はどのような時代になり、そして、これから10年はどのような組織が求められるのでしょうか。常識を疑い、固定観念を捨て、発想の転換を行いながらも古きを重んじ発展していく、新たな組織の基盤を創り出しましょう。

【結びに】
青年会議所とはリーダーシップトレーニングであると尊敬する先輩が言っていました。誰かが誰かを頼りそのバトンを引き継ぎ、それを皆が成長の機会につなげてきました。
私はJCライフの中で常に人と交わり、語らい、泣き笑い、沢山の経験をさせてもらい、わからないことや初めて訪れる苦難を成長の機会と捉え歩んできました。
先達がこの地を開拓してきたように、我々はこれからのSAPPOROをリードし更なる魅力を開拓する人財でなければならないのです。
人間は挑戦し続けることでしか自分の器を磨き、大きくすることは出来ません。人々からの共感を生み、熱狂させるには自分の命を燃やし続けなければ、少しも他人の心に火を灯すことは出来ません。時代は「競争社会」から磨き支えあう「共創社会」へとシフトしているのです。

人生における大きな喜びは、
「君にはできない」と世間が言うことをやってのけることである。
ウォルター・バジョット
だからやろう本気で
だから挑戦しよう自分の限界に
その先に自分の成長した姿が必ず待っています。