PHILOSOPHY基本理念

大きな「夢」を描き、力強く「行動」できるまちサッポロの創造

POLICY基本方針

  • 1.大きな夢と確かな歩みによる全国大会の基盤構築
  • 2.次代に誇れる発想と価値の創造
  • 3.魅力あるJAYCEEの育成と共感を集める広報戦略の確立
  • 4.信頼され魅力溢れる組織の確立

理事長からのメッセージ

勝木 征史

一般社団法人札幌青年会議所
2018年度 理事長所信

一般社団法人札幌青年会議所 第67代 理事長
勝木 征史 Masafumi Katsuki

【はじめに】

1869年(明治2年)8月15日、太政官布告が公布され、かつて蝦夷地と呼ばれていた北海道は、アイヌ語で蝦夷地を指す「カイ」という意味が込められた「北海道」と命名されました。北海道開拓の父と呼ばれた開拓主席判官 島義勇とともに、北海道開拓に尽力し、北海道という名称の考案者である開拓判官 松浦武四郎をご存知でしょうか。伊勢国に生まれ、長崎で僧侶となった武四郎が、ロシアが勢力を広げるために蝦夷地を狙っていると知り、初めて蝦夷地に渡ったのは1845年27歳のことでした。

「みちのくの蝦夷の千島を開けとて神も我を造り出しけん」

松浦 武四郎

 北方を開拓し、国土を守ることが天に与えられた使命であると覚悟を決めた武四郎は、一探検家として、自ら蝦夷地の調査を行い、多くの報告書や地図を作り、蝦夷地の現状を広めました。その際、アイヌ文化に触れ、五州第一の都には先住民族であるアイヌとの共生が必要であると考えた武四郎の想いは、「札幌」に代表されるアイヌ語を基にした数多くの地名と、道内40カ所に設置された武四郎の銅像やレリーフに形を変え、現代にまで受け継がれています。

先人たちから受け継がれてきた壮大な志と覚悟により、たった150年で北海道、札幌は目覚しい進化を遂げてまいりました。これまでまちを想い、様々な運動を展開してこられた先人たちには心からの敬意を持たなければなりません。しかし、現代から新現代へと切り替わり始めた昨今、時代の変化への対応が今まで以上に重要となってきています。より良いまちを創造するためには、過去の全てを肯定するのではなく、現状を確りと検証し、本質を抽出して継承するとともに、時代に応じた政策を立案し、実行することが必要なのです。

今を生きる私たちの大きな「夢」と力強い「行動」で、私たちが愛する誰かのために、先人たちが創り上げてきたまち札幌に更なる進化を促してまいりましょう。

【全国大会レガシーの継承】

札幌青年会議所は、2015年度に公益社団法人 日本青年会議所が主催する全国大会に主管立候補することを決定し、2016年度より全国大会開催に向けた活動に取り組み、2017年度には2020年度全国大会の主管青年会議所として承認されました。本大会を通じて、我々が掲げるビジョンを実現するには、我々の力だけでは困難であることは明白です。我々の最大の理解者であり、支援者であるシニアクラブ会員との連携。同じ志を持ち、各地から北海道を変えようとしている全道各地会員会議所との連携。札幌という愛すべきまちの発展を望む市民や行政・関係諸団体との連携。この3つの連携を更に強化するとともに、我々一人ひとりの行動が全てに影響を与えるという自覚と責任を持つことが重要なのです。会員の意識を一つにし、地域に我々が掲げたビジョンを浸透させ、共感の輪を広げ、全国大会を活用した理想のまち実現に向けた運動を展開し続けなければなりません。

全国大会北海道札幌大会は理想のまちサッポロ実現の鍵である

 全国大会を通して、北海道、札幌に脈々と受け継がれてきた開拓者精神を全国に広め、同志とともに札幌、北海道、ひいては日本の発展に寄与をしていくという本質を忘れず、全国大会レガシーを継承し、大きな「夢」と力強い「行動」で理想のまちサッポロを実現してまいりましょう。

【多世代協働によるまちづくり】

札幌青年会議所は、1951年戦後の傷が癒えない地域の復興を願い、明日の札幌のために自分たちの手でできることを行おうという志により創立され、創立以来60年以上に亘り、まちづくりやひとづくりに携わってまいりました。そして、2011年に我々の行動指針となる「未来ビジョン」を策定し、2015年には理想のまちを描いた「サッポロビジョン」を策定しました。私たちは、札幌に住み、札幌に育てられ、札幌を愛しているからこそ、地域への「誇り」を持ち、家族・地域・世界との「絆」を大切にし、地域の新たな価値を「創造」し、異なる分野や立場の人々と連携して高齢社会、人口減少、労働力・地域力の低下、財政の悪化という現状に対して、どのようなまちづくりを行うか答えを出さなければなりません。

官民が一体となり、世代や性別、立場を超えた共生の意識によるまちづくりを実践したとき、札幌に関わる全てのひとが大きな「夢」を描き、力強く「行動」することができる理想のまちサッポロの実現に大きなインパクトを与えることができるでしょう。

【真の国際都市の確立】

私たちが住み暮らす札幌は、国際都市札幌を目指し、オリンピックをはじめとする様々な国際大会や国際会議を開催するとともに、留学生や観光客の受入を行い、国際交流人口を増やしてまいりました。そして、20年前には900人程であった道内の外国人留学生は、今や3,200人と3倍を超え、訪日外国人来道者数は12万人から208万人と17倍を超えるまでの成長を果たしております。しかし、国際交流人口の急激な増加にまちや市民の成長は追いついているのでしょうか。今一度まちを見渡してください。ユニバーサルデザインや外国語表記の看板は十分でしょうか。外国人旅行者と会話をしている市民がどれだけいるのでしょうか。海外とのビジネスマッチングなど世界との未来志向の連携に取り組む企業がどれだけ増えているでしょうか。雪を魅力に描かき変え、190万都市という豪雪地域において世界最大のまちとなった札幌であるからこそ、名実ともに世界に誇れるまちに成長することが札幌の国際化には重要なのです。つまり、世界を牽引する真の国際都市を確立するには、世界との対話を推進し、官民一体となった国際交流を行わなければなりません。

相互理解と経済協力を両立する国際交流が実現したとき、150年で稀に見る成長を遂げた都市札幌に更なる進化を促し、世界に大きなインパクトを与えることができるでしょう。

【公益資本主義によるひとづくり】

20年に亘るデフレ経済と過度なグローバリズムが密接に絡み合い、格差社会が拡大している中で、まちの経済状況や人々の生活は厳しくなり、他を 慮おもんぱかる余裕がなくなってきているという言葉を聞いたことがないでしょうか。その言葉は本当に正しいのでしょうか。元来、日本人のものの考え方には、神話の時代から「和」の精神が根付いています。そして、先人たちは「和」の精神により、敗戦に代表される様々な国難を乗り越えてきました。企業は株主のものであるという株主資本主義が行き過ぎた結果、富の集中が進み、世界各国で格差社会の拡大が問題化しています。また、国民生活基礎調査によると、2000年には日本の相対的貧困率が15%を超えるなど、貧困ライン(平均所得の1/2)以下の生活を余儀なくされている国民が増加傾向にあり、先進国の中でも日本は貧困率が高い国となっています。様々な綻びが見え始めた現代経済において、将来不安がもたらす閉塞感を打破し、自分だけがよければいいという考えを捨て、共助を超えた共生の意識を育むことが日本経済の再生には重要なのです。つまり、「和」の精神に通じる「世を経おさめ、民を済すくう」という経世済民の概念や公益資本主義が必要不可欠であり、CCRCやソーシャルビジネスなど、持続可能な課題解決型の仕組みを取り入れ、札幌の地域性と有機的に連携させる社会起業家を育成し続けなければなりません。

「和」の精神と開拓者精神溢れる数多くの社会起業家たちが育ったとき、札幌は経済の好循環により成長を続け、デフレからの完全脱却に向け大きなインパクトを与えることができるでしょう。

【次代の育成】

日本国内の青年会議所会員が少しずつ減少している中、札幌青年会議所は会員拡大の重要性を再認識し、2010年度を境に増加傾向に切り替わりました。そして、今では300名LOMを見据えた拡大運動が戦略的に行われています。これは過去から現在まで、より良いまちの実現に向けて尽力されてきた先輩諸氏と現役会員の運動の成果に他なりません。しかし、今の我々の拡大運動を顧みてください。拡大運動は増と強の両輪で前進していきますが、増の運動に強の運動は追いついているでしょうか。会員一人ひとりが青年会議所に所属する魅力を感じられるような成長の場を与えられているでしょうか。今一度、札幌青年会議所の拡大運動を見直さなければなりません。

我々が増と強の両輪を等しく回し、次代の担い手を育成することができたとき、札幌青年会議所は魅力あるひとが溢れ、外部からの信頼と羨望を得て、より多くの仲間を得ることができるでしょう。

【共感によるブランディング】

札幌青年会議所は素晴らしい歴史と伝統を持つ団体ですが、周囲を見るとまだまだ認知度が低いという現状があります。我々がどんなに魅力ある事業を構築し、実行していると考えていようとも、周囲を巻き込み、受け入れられなければ、世の中にインパクトを与え、変化を生み出すことはできません。一億総発信社会を迎えた今こそ、受け手が必要としている内容を伝え、行政・市民・関係諸団体を巻き込むとともに、内外から多くの共感を集め、より実行力のある運動を展開していくには、札幌青年会議所の価値を多角的に発信し、効果的に高めていかなければなりません。

今まで行ってきた堅実な広報活動と斬新奇抜なアイディアに加え、あらゆるツールを組み合わせ、時期に応じた柔軟性を持った広報戦略を展開し、周囲の共感を得ることができたとき、札幌青年会議所の価値は高まり、大きなインパクトを与えることができるでしょう。

【誇りある組織】

我々は魔法の道具を持っています。それはJCバッジと名刺です。しかし、その魔法は40歳の12月31日に解けてしまうのです。我々は、現役である間は、このJCバッジと名刺を使って、様々な有識者や企業と会い、連携を取ることができます。それを可能にしているのは、札幌青年会議所が、1951年の創立から今日こんにちに至るまで、厳格な組織体制と規範意識に基づく組織運営を行い、40歳までという限りある時間の中で、より効果的な運動を構築し、札幌の発展に寄与し続けてきたからに他なりません。

先輩諸氏が創り上げてきた信頼に感謝し、終わりがあるからこそ全力で向き合う組織に誇りを持ったとき、我々の基盤はより強固になり、札幌青年会議所の信頼を更に高めることができるでしょう。

【結びに】

「俺には3つの宝物がある。家族的な雰囲気で創り上げた会社。
生涯の友人を与えてくれた青年会議所。偉大な人たちとのロータリーライフ。」
勝木 郁郎

 札幌青年会議所 第8代理事長を務めた私の祖父は、生前周囲の人間にこのように語っていたといいます。1951年、戦後の人手不足、資金難という状況に対して、自分たちにできることを行い、少しでいいから社会に役立とうという想いを持ち、青年会議所運動に取り組んできたと聞いています。その中で、何故会社やロータリークラブではなく、青年会議所で生涯の友人を得ることができたのでしょうか。そもそも、青年会議所の特徴は何でしょうか。まちづくり団体、ひとづくり団体、政策立案実行団体。一人ひとり考え方は違い、様々な答えが出てくると思います。しかし、それらの答えには共通点があります。それは、周りにいる誰かの幸せな未来を勝ち取るため、大きな夢を描き、目前の壁に全力で立ち向かい続ける、若者集団ということです。より良い未来を目指し、ともに夢を語り合い、ともに汗を流し、ともに讃えあう青年会議所だからこそ、強固な絆が生まれ、生涯の友情を築き上げることができるのです。

青年という限られた時間にしかできないことがあります。若者だからこそ失敗を恐れずに挑戦ができるのです。大事な人のために行動を起こすのは他の誰でもなく私たちなのです。私たちの愛する札幌を創り上げてきた先人たちのように、大きな「夢」を描き、力強い「行動」をもって、皆が幸せになる未来を創ってまいりましょう。

「未来は美しい夢を信じるひとのためにあります」
エレノア・ルーズベルト

青くさくてもいいじゃないか 青年らしく夢を語ろう

泥くさくてもいいじゃないか 青年らしく汗をかこう

夢を描かなければ何も始まらない 行動を起こさなければ何も変わらない

多くの仲間とともに歩み続けよう 私たちは開拓者なのだから